聖なる朝の雌猫(ひと)
その日、旅人ヨキが目を奪われたのは
岩土の上で身繕いをする若き乙女だった…
(う、うつくしいにゃ…)
そのあまりの美しさにヨキは我を忘れて飛びかかった。
ガバッ!!
乙女(ピルク)「にゃんにゃのあなた、乙女にむかって失礼にゃ!」
その言葉にヨキは引き下がった。
だがその場から離れがたく、岩影からただ乙女を見つめていた。
ピーンと伸びた脚、ピンクの肉球、その白い毛並み。
朝日に照らされたその姿は、まるで後光が差しているようだった。
(こんにゃうつくしいひとは見たことがにゃい…)
そのとき、乙女がふと視線をヨキに向けた。
(ドキッ)
「にゃに…あなた、アタチにほれたの?」
(どどどどうしよう…)
乙女は少し色目を使いながら
「ふ〜ん?」
とヨキに顔を近づけてきた。
(ドキドキドキドキドキドキドキドキ)
(ボボボボクはどうしたらいいんにゃーーー!)
乙女より年若いヨキはどうすることもできず、
来た道を引き返すのみであった…。
※この物語はフィクションです。
が、あながち嘘でもありません。