ニンゲンの使い方
猫はふしぎ。
姿形はまったく違う生き物なのに、自分に都合よくニンゲンを使う方法を知っている。
ティッキがゴロンと仰向けになるのは「アゴの裏をなでなさい」の合図。
ニンゲンはよろこんでなでさせていただく。
その手をつかまえてゴシゴシと顔を拭く。
たまにペロペロもする。
猫にしてみれば「これ、ちょうどいいのよね」程度なのに
ニンゲンはかわいいとよろこんでしまう。
ヨキは遊ぶときの棒「ヨキ棒」を咥えて
ニンゲンの横に持ってきて「あちょびなさい」と要求する。
ニンゲンはよろこんで遊ばせていただく。
ピルクはニンゲンの膝をチョンチョンして「のせにゃさい」と要求する。
そして膝の上を首がカクンと落ちるくらい爆睡できる、気持ちいいベッドにする。
ニンゲンは足がしびれていよいよダメというまでよろこんで我慢する。
みんな、こたつに入りたいときはニンゲンの横に来て腰をチョンチョンする。
するとニンゲンがこたつ布団を持ち上げてくれる。
自力でも入れるのに、わざわざ布団を上げさせる。
その他、「ごはん」と言ってごはんを出させたり、
かがんでるニンゲンを踏み台にしたり、
足下にまとわりついて背中をなでさせたり…
とにかくよくニンゲンを使う。
しかし、猫にとってそのニンゲンは誰でもいいわけではない。
毎日一緒に暮らす、よく慣れたニンゲンでないとダメ。
他のニンゲンは怖い。
部屋に入ってきたら隠れてしまう。
毎日顔を合わせてるニンゲンにのみ
心を開いてくれる。
だから今日もニンゲンは
よろこんで猫のシモベになってしまうのだ…。